仄仄山岳会ニュージーランド遠征その2(11月3日)

●クイーンズタウンよりルートバーントラック・マッケンジーロッジまでの行程●


    

    

11月3日午前6時、ホテルの部屋を出て、ホテル内のレストランにおいてバイキングの朝食。
かなりすごい二日酔いのため、僕はほとんど食欲なし。
P子はしっかりと食べていた。
6時40分ホテルを出て、待ち合わせ場所のステーションに向かう。
ホテルの裏に広がるサザンアルプスの山並みが雄大。
お天気はちょっと曇り気味。
ステーションにはすでにルートバーン行きのバスが止まっていた。
そこで今回のガイドであるアヌシカナイダが待っていてくれた。
男性のガイドだとばっかり思っていたのだが、今回は女性ガイドということでちょっと嬉しい。
また同じくトレッキングに参加の神奈川県のY氏とも挨拶をする。
エリート銀行マンの彼は、山が好きで関東近郊の山歩きを積極的に行っているとの事。
英語もかなり堪能のようで、ひじょうに頼もしい(P子に通訳を頼むと、かなり省略した翻訳しかしないので嫌だ!)。
午前7時クイーンズタウンを出発、ここから途中のテアナウでのモーニングティーを入れて、約3時間をかけてトレッキングの出発地であるディバイト峠に向かう・・・。

    

    

    

午前10時スタート地点のディバイト峠に到着する。
ここでトイレを済ませ、今回のガイドウォークの詳細をアヌシカから聞く。
いよいよ出発である。
ディバイト峠からのトラックは道幅も広く歩きやすい。
最初のポイントであるキーサミットまでの45分はなだらかな登り。
トラックの最初のこの部分は、今回のコースの中で低地に育つSilver Beech(銀ブナ)の森林を歩く唯一の箇所。
この辺りの年間平均降雨量は5000ミリを越え、湿気を好むモス(苔)などの宝庫となっている。
これらは木々を飾り立てたり、森にまるでカーペットを敷いたかのような幻想的な景色を造りだしている。
苔の大好きなP子は興味津々。
道の脇にあるモスにはかならず手を伸ばす。
シダ類なども豊富。
ちなみにニュージーランドラグビーのナショナルチームである「オールブラックス」のチームマークはシダのハッパである・・・。

  

    

  

ディバイトから1時間くらい歩いたところで、キーサミット分岐に着く。
標高919mのキーサミットは、標高は低いがビューポイントとしても有名なところ。
かなり気温が低下しているのが分かる。
お天気が今ひとつで、展望もあまり望めない様子ではあったが、キーサミットまでの往復することにした。
ピークまでの道、耳が千切れそうになるくらいの寒風に襲われる。
高層湿原地帯でもあるピークは、湿性植物の宝庫で、モウセンゴケなどの食虫植物なども垣間見ることができた。
20分ほど木道を歩き、分岐に戻る。
雪が強風に混じるようになった・・・。

    

    

そろそろお腹が空いてきた。
キーサミット分岐より40分ほどでハウデンハットに到着する。
ハウデン湖のほとりにある小さな小屋で、ルートバーングリーンストーンキャプルズトラックの分岐点になっている。
途中からちょっと強い降りのミゾレになっていたので、体はかなり冷えている。
ガイドのアヌシカが分岐より先行して、食事の用意をしていてくれた。
温かい飲み物特大サンドイッチの昼食。
食後のデザートのクッキーとオレンジまでしっかり全部頂いた・・・。

  

ミゾレが本格的な雪に変わり始めた。
アヌシカに聞くと、この時期のルートバーンで雪は本当に珍しいということであった。
落差80mのイアーランドの滝を通過・・・。

  

あっという間に、あたりはすっかり真っ白になってしまった。
これは「吹雪」というのではないかというくらいの降り方である。
苔に積もった雪は本当に綺麗で、「宇治金時」を連想させる・・・。

    

もうすぐ午後4時になろうとしていた。
日照時間は長いので暗くなるということはないのだが、雪と寒さによるペースの遅れがだんだんと気になり始めた。
無線機でマッケンジーロッジと連絡をとろうとするが、上手く繋がらないようだ。
しばらくは雪で真っ白になりながら先を急ぐことになる・・・。

    

    

午後5時、本日の宿泊地である「マケンジーロッジ」へ到着した。
こじんまりとしたいい小屋の雰囲気。
早速、乾燥室で塗れたフリースなどを乾かすことにする。
リビングのダルマストーブで自分達も乾かしたことは言うまでもない・・・。

    

    

    

外は相変わらず吹雪いている。
午後6時、夕食が始まった。
今日の夕食は暖かいスープパスタだった。
夕食の後、リビングのソファーでゆっくりと寛ぐ。
僕がシャワーから帰ってくるとピアノの音が聞こえてきた。
静かなマッケンジーの夜はふけていく・・・。


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