白馬岳その3からの続き

    

丸山のピークから杓子岳にかけては、ザレザレの砂地の急斜面。
他の登山者は、杓子岳をショートカットし、直接鑓ガ岳へ向かうようだ・・・。
僕らはあくまでも「白馬三山」にこだわり、ヤケクソで急登に挑む。
ジグザグの滑りやすい頂上への道・・・。

  

午前9時17分、杓子岳2812mピークに到着。
細長い山頂で一息。
砂地の山頂は、太陽の照り返しで眩しい・・・。
稜線をつたい、鑓ガ岳への巻き道に戻る。

    

    

大下りをし、今度は鑓ガ岳へと向かう。
ドテッとした山容は、どうみても「鑓」には見えない。
杓子沢のコルからまたまた一気に急登が始まる。
何も遮るもののない稜線の急登だ。
午前11時01分、鑓ガ岳2903m山頂に到着。
ちょっと早めの昼食にした。
カップラーメン用のお湯をバーナーで沸かす・・・。
お湯が沸く間、自分たちが歩いてきたルートを山頂から確認。
ガスが下からモクモクと上がってきた・・・。

    

鑓ガ岳の山頂を後に、ザレザレの急斜面を下る。
白馬三山の縦走は終わり、鑓温泉へ向かうのだ。
不帰ノ嶮と大出原への分岐にさしかかる。
唐松岳へ向かう稜線上に天狗山荘が見えた。
不帰ノ嶮の難所を越えて唐松岳へは6時間ほどの行程。
いつかはチャレンジしてみたい・・・。

    

分岐を後に、鑓温泉まではどんどんと下るのみ。
ところが意外にもこれが曲者だった。
行けども行けども急な下り。
珍しくぴょん子隊員がへたばった・・・。
温泉マークの書いてある大岩の近くで小休止。

    

背の低い潅木帯に入ると鎖場の連続になる。
ちょうど疲労感が増してきたところなので特に慎重に下りる。
浮石もあり、スリップが心配だ。
大きな沢に出る。
ポッカリと開いた雪渓のクレパスの迫力に圧倒される。
沢を下っていくと、鑓温泉の屋根が見えてきた。
硫黄の匂いがあたりを包む・・・。

    

午後2時18分、鑓温泉に到着。
今回の山行の中でいちばん辛い行程が終わった・・・。
鑓温泉小屋は、雪崩れ対策のために、冬季は解体される簡易の建物。
素朴なプレハブ作りの小屋だ。
宿泊手続きをする・・・。

鑓温泉小屋

収容人員150名
1泊2食付¥8600




部屋は2階の6畳。
最終的に、僕らと単独の男性の3人で使うことになった。
鴨居が低いので、中腰で動かないと頭をぶつける。
同じ箇所を1分もしない間に2回もぶつけたぴょん子隊員が頭を押さえてのた打ち回る。
「気の毒過ぎる・・・」。



頭を抱えて身動き一つしないぴょん子隊員を放置プレーにし、そそくさと温泉へ。
メチャメチャに楽しみだった露天風呂は素晴らしいの一言。
温泉の湧出量が半端ではない。
源泉が近いということもあり、お湯はかなり熱め。
日焼けで赤くなった肌にビリビリと凍みる・・・。
熱いお湯に慣れ、標高2100mの露天風呂の至福の時を存分に味わう・・・。

※基本的には混浴。
囲いのある女性専用の風呂もある。
午後8時から9時の間、露天風呂は女性専用となる。


  

午後5時、夕食の時間。
脳挫傷?の後遺症で口数の少ないぴょん子隊員を引き連れて食堂へ。
素朴なメニューだが、どれも美味しい。
特に豚汁は絶品!!。
しっかりとお代わり・・・。



夕食の後、部屋に戻った僕らはゆったりとした部屋でボーっと過ごす。
静かな山小屋の一夜・・・。
いつの間にか眠ってしまったようだ。
午後9時30分頃、「ヘッデンを貸して欲しい!」とぴょん子隊員に叩き起こされる。
「ちゃんと寝る前に用意しとけよぉ〜!」。
コンタクトをはめたまま寝てしまったようだ。
寝ぼけ眼でライトを照らす・・・。

午前2時30分、「露天風呂に入りたい!」とぴょん子隊員に叩き起こされる。
「・・・・・・」。
モソモソと起き、ヘッデンを頭に付けて露天風呂へ。
誰もいないようだ。
今にも降ってきそうな星空を眺めながら、真っ暗な温泉に入る。
ピリピリと刺激のあるお湯にも慣れてきた。
女湯よりも広くてお湯も熱い露天風呂にドキドキしながらも大満足のぴょん子隊員であった。
鑓ガ岳の横を流れ星が走った・・・。

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