八甲田大岳その1からの続き
いよいよ八甲田大岳の核心部へと進む。
雪渓から熊笹の藪を抜け、ガレた砂礫地を登る。
蛇カゴが積まれた急登に息が切れた頃、鏡沼がポッと現れた。
火山の噴火口(爆裂火口)に水が溜まって出来た池で、モリアオガエルなども生息しているようだ。
岸辺の緑が反射して、名前の通りに鏡のようであった・・・。
登山口から3時間、八甲田大岳1585m山頂の三角点に到達することが出来た。
ピークからは、南八甲田の山並み、そして正面には堂々とした岩木山。
いつもなら見えるであろう、日本海や太平洋は残念ながら雲海の下であった。
途中から「シャリバテ」状態だった僕の提案で、ちょっと早めの昼食を取ることにした。
酢ヶ湯の売店で購入したおにぎりとマルちゃんのワンタンという、おなじみのスタイル・・・。
大岳の山頂を後に、毛無岱を経由して酢ヶ湯に戻ろう。
目の前にある井戸岳の大きな山容を眺めながらの急降下。
一部には大きな雪渓があり、トラバースをしながらゆっくりと下ることにする。
案の定、ぴょん子隊員が転倒する・・・。
大岳と井戸岳の鞍部にある避難小屋。
これまた立派な小屋である。
トイレを借りながら、今回も内部を偵察する。
左手に大岳を眺めながら段々と高度を下げていく。
先ほど転倒した雪渓も見える
眼下に上毛無岱が見えてきた。
八甲田大岳の登山は、登りよりも、むしろ下りにメインイベントが待っている。
高層湿原が広がる毛無岱は、まさに天国のようだった。
広い湿原に続く木道をゆっくりと進む。
各地に点在する池糖には、オタマジャクシがたくさん泳いでいた。
上毛無岱から下毛無岱への下り。
この俯瞰は、デジカメなどでは到底、表現できない素晴らしい景色。
いつまでも眺めていたい。
人気のいない高層湿原を堪能する・・・。
楽しい毛無岱を過ぎ、樹林帯に入る。
ブナの混ざる雑木林を抜けると、眼下に酢ヶ湯が見えてきた。
ゴールは目の前である・・・。
酢ヶ湯温泉
東北の名湯として有名。
「ひばの千人風呂」は混浴である。
名前の通り、強い酸性の湯は、肌にピリピリと染みる。
日焼けをした肌に激痛が走った・・・。
(入泉料:500円)
登山道で出会った花
八甲田山を訪れたら、やはりここへ立ち寄らなければ・・・。
丘の上にたつ「雪中行軍遭難記念像」だ。
1902年(明治35年)の冬、雪中行軍の訓練中に大暴風雪のため、陸軍部隊199名が凍死した事件を記念する像である。
救援を求め、豪雪の中で仮死状態のまま立っていた後藤伍長の姿は胸に迫るものがあった。
世界の山岳事故の中でも類を見ない大量遭難事故は、同じ山を登る僕にとっても他人事とは思えない。
大好きな新田次郎の小説や、高倉健、北大路欣也が主演した映画にもなった。
八甲田山を背に、青森を遠望する後藤伍長の姿には感銘を覚えた・・・。